当社の人事制度ご紹介します(給与体系)

こんにちは。LOGIQUEの吉次です。

コロナ禍にも関わらず、2020年に従業員数は増えまして、2021年2月時点で、85名となっています。

 

インドネシアで人員を採用する場合、特に外資企業が採用活動をする際には、幾つかの難しさがあると言われています。その背景には、外国企業にとってはありえないような規定となっている労働法や毎年上昇を続ける給与水準、日本とは異なる文化・宗教の取り扱い、Jobホッピングに抵抗が少ない環境、人材需要と供給のギャップなどがあり、インドネシアでの人事、採用活動はハードシップが高いとされています。

 

特にインドネシアの日系企業は製造業の会社が多く、労働組合との難しい調整が求められることもあるのでしょう。

 

私は、2012年からインドネシア・ジャカルタで会社を経営・運営していますが、採用活動はほぼ独自の方法で行ってきました。当社に合致すると思われる社員には定着してもらえるよう、当社の中で成長してもらえるように様々な方法で、人事制度を整えてきました。もちろん、いくつかの反省点もありはするものの、採用活動も人事制度の整備も割とうまくやってこれたのではないかな、という自負はあります。ちなみに現在、80名を超える社員のなかで、日本人は私だけです。日本に拠点があるわけではないので、日本人の立場から相談に乗ってくれる人もいません。

そういった環境の中でも、まあまあ順調に組織づくりをしてくることができた(いろいろと試行錯誤をしなければならなかったし、小さい失敗は幾つもありましたが)のには、いくつかの要因があります。

コンプライアンス遵守の観点で一点の曇りもあってはならないような大規模な企業と、当社のような規模感の企業では難易度が全く違うことは重々理解しています。その上で、いまインドネシア・海外での採用活動にお悩みの企業の方、またこれからインドネシア(他、東南アジア諸国)に展開する企業の皆さまにとって、少しでも参考になればと思い、当社が過去、試行錯誤しながら取り入れてきた人事活動における考え方や採用方法、人事制度などをご紹介したいと思います。

 

第一回目は、当社LOGIQUE INDONESIAの給与体系を公開します。これは、我ながら良くできてるなと思いますので適用可能な会社さんはぜひ参考にしていただければと思います。

 

給与の構成要素はこのようになっています。(価格は、すべてインドネシアルピア)

【構成要素】

①Basic Salary

②Position Allowance

③Hardship Allowance

④G-Bonus / S-Bonus

 

◆例 プログラマー

Basic Salary = 5,000,000

Position Allowance = 4,000,000

Hardship Allowance = 2,000,000

G-Bonus / S-Bonus = 3,000,000 / 4,500,000

※Gの場合 = 14,000,000,  Sの場合 = 15,500,000

 

・残業代:満額支払い(ただしそれらが必要な残業仕事と確認される必要あり 注1)。

・THR:満額支給。

・そのほか:プロジェクトボーナスとして、特別考慮すべき事情として、「その他ボーナス」を毎月査定。該当すれば支払われる。

注1)SupervisorによりDokodemo-Kerjaのレコード、Nippoの記録と合わせてレビューされ承認。

注2)当社の場合、全ての従業員がBasic Salaryだけで最低賃金を超過した金額になっていますが、Basic SalaryとPosition Allowanceだけで最低賃金を超えるような設定にしたほうが良いと思います。

 

  • Basic Salary

Basic Salaryは毎年のインフレ率に沿って上げています。基本的に社員間に大きな差はつけていません。ただし、勤続年数、職種、その他考慮すべき要因によって差がでることもあります。

②Position Allowance

職能レベルを10グレードに分けて管理しています。たとえば、以下のようにレンジを管理しつつ、そのレンジの中で公平に査定しています。

1: 0 – 500,000 IDR

2: 500,000 – 1,000,000 IDR

3: 1,000,000 – 2,000,000 IDR

4: 2,000,000 – 3,500,000 IDR

この職能レベルはいつでもプロモーションのチャンスがあります。

回数は、「年に1~2回」など限定することはなく、管理者や人事部より昇格の提案があれば適宜査定評価されます。その代わり、ダウングレードの可能性もあります。

 

③Hardship Allowance

インドネシアでは今でも多くの会社が、『Meal Allowance』や皆勤手当など、さまざまな名目の手当を付与しており、この管理が煩雑になっている会社が多く散見されます。

通勤交通費手当も、バイク通勤で安価な社員と住居が多く交通費を多く受け取るスタッフとでは不公平感が拭えないため、(この交通費計算方法も不正の温床と言われています)、すべての手当を一律としています。クライアント訪問した際の交通費等は、もちろん実費を別途支給です。

例:Jakarta 2,000,000 IDR、Yogyakarta 500,000 IDR

とはいえ、出勤数の多少や、COVID-19を要因とするフルリモートへの移行などで、この手当の支払いを停止するということは、当社は今までに一度もありませんし、今後も考えていません。当社では、これも含めて『固定給』と捉えています。ただし、あまりにも長い病欠がある、また、非常に勤怠や勤務態度が悪い場合は、この費用は、カットしても構わないと考えています。

なお、産前産後休暇については、今まではHardship Allowanceも含め3ヶ月分を支払っていますが、ここは、ケース・バイ・ケースで調整の余地がある部分だとしています。たとえば、高い年俸の社員の場合、入社時点で妊娠における活動などをしているような場合は、本人と相談の上、Hardship Allowanceのバランスを通常より多くし3ヶ月間はこれを除外する代わりに保険は適用可能とするなどを想定しています。

 

④G-Bonus(Good Work Bonus)

『Good Work Bonus』とは、良い働きをしてくれた社員に支払う、月額固定のボーナスのことです。「良い働きをした」場合とはいっても、現実的にはあまりに悪い場合を除いて支給する月額固定ボーナスとなっています。この手当が支払われないケースは、会社に悪影響を及ぼすパフォーマンスや、勤怠や勤務態度が非常に悪い場合、また、人事ルールを遵守しなかった場合などのみです。当社の場合、80人超の社員の中で、G-Bonusを支給しないケースは、2ヶ月に1件あるかないかです。

 

通常は、『警告書SP1(Surat Peringatan)』をもとに本人と相談し、改善が見られなかった場合、『SP2』、『SP3』を提出。その後、解雇事由を検討するという時間のかかる手続きを踏む必要がありま す。当社では、大きな問題が発覚した時点で、『No-Rank(G-Bonusを与えない)』という評価を出す(明確な強いメッセージ)ことができるため、早い段階で問題を抑止できますし、問題を長期間継続させてしまう、ということはありません。

 

④S-Bonus (Super Good)

「Super Good」とは、G-Bonusよりも高く設定された固定の月額賞与のことです。毎月末に全社員の評価査定を行い、一人ひとり、GもしくはSを決定します。やり方としては、各部署、チームのリーダーがメンバーの査定を実施。それを、毎月末、マネジメントが丁寧に評価を行います。この結果、賞与の差が少ない社員でも、1,000,000 IDR、差が大きいと3,000,000 IDRなど、支給額が大きく異なるため、その評価にもかなりの精度が求められます。

当社でも、チーム(職種)ごとに異なる評価指標と「Formula」を設定していますが、十分に詳細な指標を用いて査定しています。(この詳細はまた別の機会にご紹介します)

毎月末、一人ひとりの業務について確認&評価するので、そこで特筆すべきことがあれば、特別ボーナス

についても議論し決定していきます。さらには、毎月「ベストスタッフ」を選出(上限数設定なし)しており、選ばれた社員には、1,000,000 IDRを報酬として支払っています。

 

なお、この査定でS評価とならなかった社員が、その評価に不満がある場合、評価の正当性について繰り返し説明を求めるケースなども経験してきましたが、現在では、査定指標とFormulaの精度が向上し、マネジャーの説明のスキルもそれと比例して向上しており、結果として当社の組織制度や風土に合致した、最適な給料制度だと感じています。

 

もちろん、会社それぞれの特性に合わせてカスタマイズすることが何より不可欠ですが、当社の給与体系が参考になれば幸いです。

 

GとSの金額設定のコツ、Hardship allowanceの例外ケース(フルリモートワーカーの場合にどうするか等)などいろいろ試行錯誤して分かってきたことがあるのですが、さまざまな背景・要因とともにご説明しないとならないため、この場ではなく、別の機会にご紹介させていただければと思います。

もっと詳細に説明しろなどのリクエストはお気軽にご連絡いただければと思います。

LOGIQUEへのお問い合わせはこちらよりお願いいたします。

 

Yoshi

 

Yoshi
Yoshi

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LOGIQUE’s founder and CEO. After working as a business development consultant at a consulting firm, he started a business in Japan, exited, and then moved to Indonesia, where he now manages multiple companies.

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